兵庫県立美術館「描く人、安彦良和」に行ってきました

兵庫県立美術館で開催されていた「描く人、安彦良和」に行ってきました。
安彦良和の創作活動を幼少期から現在までたどる大規模な回顧展でした。
安彦良和といえば、『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザインやアニメーションディレクターとして知っている人が多いと思います。
ただ、この展覧会はそこだけで終わらないのがとても面白かったです。
アニメの仕事、漫画の仕事、歴史ものの大作、そして最近の作品まで、ひとりの表現者がずっと何を描いてきたのかが、かなり広い範囲で見えてきます。
展示は6章構成になっていて、北海道で絵を描くのが好きだった少年時代から始まり、アニメーターとして動きを描く時代、『機動戦士ガンダム』でカリスマ・アニメーターとして注目される時代、その後の監督や漫画家としての仕事、さらに歴史漫画、そして現在へと続いていきます。
見ているうちに、「この人、ずっと描いてるな」と当たり前のことを改めて思わされました。
しかも、ただ量が多いのではなく、どの時代にも熱がある。
会場には約1,400点の資料が並んでいたそうですが、実際に見ると、その物量にもかなり圧倒されました。
ラフ、原画、設定、漫画原稿、ポスター原案など、ひとつの完成作だけを見ているときには分からない「そこに至るまで」がしっかり見えてくる展示でした。
完成された一枚の絵のすごさだけではなく、その前段階の線や迷い、勢いまで含めて見られるのが、この展覧会の贅沢なところだったように思います。
やはり印象に残るのは、線の強さです。
きれいとか上手いとか、もちろんそういう言葉でもいいのですが、それだけだと少し足りない気もします。
人物でもメカでも、立っているだけで「この人はこういう人なんだろうな」と伝わってくる感じがあって、説明より先に絵そのものが語ってくる。線に説得力がある。
『機動戦士ガンダム』の章はもちろん見ごたえがあるのですが、個人的には、それ以外の章もかなり面白かったです。
むしろ、ガンダムの人として知っていたからこそ、歴史漫画の章に入ったときに「ここまでやるのか」と驚かされる感じがありました。
『ナムジ』『虹色のトロツキー』『王道の狗』など、古代史や近代史を題材にした作品群には、緻密な時代考証と強い想像力が同時に入っていて、単に資料的というのではない、表現としての厚みがありました。


この展覧会を見ていて思ったのは、安彦良和は「何を描くか」もすごいけれど、「どう描けば伝わるか」をずっと考え続けてきた人なのだろうな、ということです。
アニメでも漫画でも歴史ものでも、ジャンルは違うのに、どこを見ても「伝えるための絵」になっている感じがある。美術館で見る展示なのに、どこか現場の温度も残っているような、不思議な生々しさがありました。
タイトル通り、「描く人」という言葉が最後までしっくりくる展示でした。
アニメーターとか漫画家とか、もちろんどれも正しいのですが、それより先にまず描く人なんだなと思える。
肩書きをいくつ重ねても収まりきらないものが、その一言で妙にきれいにまとまっている気がしました。
ひとつの表現を長く積み重ねてきた人の仕事には、やはり独特の迫力があります。
今回もとても勉強になりましたし、素直に「見に行ってよかった」と思える展示でした。
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